ヨコエビに燃える



●はじめに
ヨコエビとは、エビを横に押しつぶしたようなかわいらしい外見をしている生物です。
多くは干潟などに生息しており、水に依存した生活をしています。
ヨコエビは魚の死骸のような物を食べる生態系の弱者で、底生生物、いわゆるベントスという位置づけとなります。
そんな目にも留められないような存在のヨコエビですが、じっくり見てみるとその愛らしさが理解できてくるのではないかと思います(笑

●ヨコエビの種類

<淡水性ヨコエビ>
淡水性のヨコエビはいままで二種確認しています。
二種のうち一種は国外移入のフロリダマミズヨコエビで、汚染された河川で見られるのは本種の可能性が高いようです。
どちらとも飼育は容易で、繁殖もかなりします。

    
ヒメアナンデールヨコエビ
Jesogammarus fluvialis
フロリダマミズヨコエビ
Crangonyx floridanus
体長は大きいもので15mmほどあります。
平野部の湧水地帯で多く確認しています。コカナダモのような水草や苔類が多く繁茂し、水質の良い河川にはほぼ見られます。
体色は茶色から黄色のものがほとんどです。

体長は10mm未満の小型種で、北米原産の外来種です。
愛知県の数ヶ所で確認しています。
排水が入っていても多く生息していて、ヘドロや有機物が堆積したような場所を好むようです。名古屋市にも生息しています。
体色はブルーのものが多いです。


<汽水性ヨコエビ>
主に汽水域の干潟に生息しているヨコエビです。
汽水域では淡水域よりも種類、数共に多くのヨコエビがみられるでしょう。
汽水魚を飼育している水槽などにヨコエビを入れておくと勝手に定着して繁殖まですることがあります。飼育難度は種ごとの生息環境によって異なるため一概には言えません。

モズミヨコエビ
Ampithoe valida
ニホンドロソコエビ
Grandidierella japonica
体長15mmほどの比較的大きなヨコエビです。捕まえると「大きい」と感じます。
海草によく付いているようで、汽水域中の海草などを掬うとわらわらと這い出してくる事が多いです。海草があれば川底の状態に関係無く生息していると思われます。
体色は黒か緑が多いような気がします。
体長は10mm内外です。
名前の通り軟泥の場所を好み、たくさんいるところでは網で掬うだけで非常に多く採集することができます。泥底の河口域にはほぼ見られます。
卵の色は自分が見た限りでは青緑のような色で、非常に綺麗です。
シマドロソコエビ
Grandidierella fasciata
ヒゲツノメリタヨコエビ
Melita setiflagella
体長は大きくても10mmほどで、比較的小さい部類に入ると思われます。
砂に小石やカキがごろごろとしているような水域でよく捕れます。
体色は黄色と黒の縞となっていてヨコエビの中ではすこぶる美しいです。こちらも卵は緑色です。
他の汽水性ヨコエビに比べて個体数は少ないように感じました。
体長10mmほどのヨコエビで、あらゆる環境の汽水域に生息しています。
特に、ある程度の泥があり、干潮時にカキや転石が露出するような環境に多いです。
生息水域内では障害物の裏にくっ付いていて、多いときは一つのカキ殻をめくると100個体以上いることがあります。
飼育は容易です。
ポシェットトゲオヨコエビ
Eogammarus possjeticus
フサゲモクズ
Apohyale barbicornis
泥底の汽水域で確認しました。潟見人の底生生物web図鑑のマゴコロガイさんによると、近年になってようやく和名のついたヨコエビだそうです。
体長はモズミヨコエビくらいで、大きいです。
目が大きく、フサゲモクズの目に良く似ています。
大きさはヒゲツノメリタヨコエビよりもやや大きいくらいです。
満潮時にようやく水に浸かるような、砂底の転石下などに生息しています。他の汽水性ヨコエビと違って本種は飛び跳ねます。
生息環境が違うからのか、水槽に入れても1ヶ月くらいで居なくなります。
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ドロクダムシ科の一種
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押しつぶされたような頭部と巨大な触角が特徴的ですが、彼らもヨコエビの一種です。
護岸部に少し溜まった水溜りで篩をふるったら出てきました。同じ場所でニホンドロソコエビもたくさん捕れました。
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<半陸生ヨコエビ>
他のヨコエビたちとは少し違い、半陸生ヨコエビとして下のヒメハマトビムシが挙げられます。

ヒメハマトビムシ
Platorchestia platensis
海岸や河川敷、林内の土壌に生息しています。時に公園でも見かけます。
湿った環境は好みますが、水自体は嫌います。
写真の個体は河口から約20劼曚匹寮邯兇悩僚犬靴燭發里任后2聾に行くに従って個体数は増えるように感じます。
実際海岸には多く生息しており、砂浜を飛び跳ねているものも多くが本種だと思います。

汽水性ヨコエビの同定、採集に関しては、潟見人の底生生物web図鑑のマゴコロガイさん、日本淡水魚類愛護会の西村さんに多大なご協力をいただきました。心から謝意申し上げます。

●ヨコエビの採集について
ヨコエビを採集するのは、生息環境さえ知っていれば誰でも捕ることができます。
魚類採集の合間にヨコエビを少し探すだけでも十分捕れると思います。

<採集用具>
 

.丱吋帖ΑΑΑΑΑΕ茱灰┘咾覆匹鮑僚犬靴謄ープしておく必須アイテムです。
熱帯魚用網・・・浅瀬などで使います。あると何かと役に立ちます。
c(1mmメッシュ)・・軟泥や海草を掬って振るいます。携帯できて便利。
し骸蝓ΑΑΑΑΑΑΦタ絨茲任虜僚犬任魯キなどが多いために必須です。
ゾ物入れ(セパレート)・・個別に蓋が付いていて分けられる。100円均一で購入。(西村さんに教えていただきました。)


イ両物入れは分解・接続もできてヨコエビを分けるのに非常に便利。

<淡水性ヨコエビの生息環境例>


淡水性のヨコエビはこのような場所の中で、水草を中心に網を入れてやると、生息しているならば比較的容易に採集できると思います。

 *採集POINT*
 ○ヒメアナンデールヨコエビ・・・ボサ蹴りの要領で水草を泥ごと掬います。
 ○フロリダマミズヨコエビ・・・抽水植物まわりの有機物をボサ蹴りで掬います。

<汽水性ヨコエビの生息環境例>


汽水域では、さまざまな場所にヨコエビがいますので、魚を捕るつもりで行っても網に勝手に入ってくるほどだと思います。
ヨコエビ自体は砂質より泥質の河川に多いです。
なお、干潮時に採集することをおすすめします。

 *採集POINT*
 ○モズミヨコエビ・・・海草類などをボサ蹴りの要領で掬います。
 ○ニホンドロソコエビ・・・河床の泥などを掬うか、フルイで河床の泥の表面を取ってふるいます。
 ○シマドロソコエビ・・・砂泥底で小石やカキがあるような環境にて河床を掬うか、フルイでふるいます。
 ○ヒゲツノメリタヨコエビ・・・干潮時、左側写真のような石があるところで石をめくると付いています。
 ○ポシェットトゲオヨコエビ・・・海藻類や河川中の障害物をボサ蹴りするといることがあります。
 ○フサゲモクズ・・・満潮でギリギリ浸かるような場所で、石などをめくるといることがあります。

<半陸生ヨコエビの生息環境>


内陸部では稀ですが、砂浜海岸や、汽水域ヨシ原内などにはほぼ間違いなくいますのでそちらに行く事をおすすめします。水際の陸地を探しましょう。

 *採集POINT*
 ○ヒメハマトビムシ・・・海岸やヨシ原内のゴミをめくると素早く飛び跳ねるので、それを手でつまむなどして捕ります。


 それぞれのヨコエビの生息環境さえ知っていれば、このようにヨコエビの大群を見つける事も夢などではありません。

左:ヒゲツノメリタヨコエビ
右:フサゲモクズ


●ヨコエビ水槽を作る
ヨコエビは飼育して初めてその魅力が理解できると言っても過言ではありません。
ヨコエビは種類によってはあらゆる水棲生物の中で最も飼育が簡単な部類に入りますので、その気になれば誰でも長期飼育、繁殖まで可能だと確信しております。
折角なので、ヨコエビ水槽なんてものも作ってみてはいかがですか?

<淡水性ヨコエビの飼育>
淡水性ヨコエビの飼育は基本的には非常に容易で、気をつけるべきところもほとんどありません。

○ヒメアナンデールヨコエビ、フロリダマミズヨコエビの飼育



飼育例
飼育容器は基本的にどんなものでも構いません。最悪ペットボトルを半分に切った程度のものでも可能です。
写真は、100円均一で購入したカリ梅の容器に水を貼り、コカナダモや苔類を入れただけの簡単なものですが、これでも長期飼育や繁殖が可能です。

装置としてはエアレーションをするとよいかと思いますが、油膜の発生を防ぐためなので弱めの方がいいです(フロリダマミズヨコエビの場合は不必要です)。エアレーションが無ければ無しでも構いませんが、そのような場合は水草などを多めに入れ、日中に明るい場所に置くなどの工夫をするとよいでしょう。
私の経験上、水中の酸素濃度が少ないと多くの個体を維持できない場合が多いです。

餌は冬以外ならば一週間に一回程度、市販の配合飼料(沈むタイプのもの)を細かく砕いて与えます。与えるとヨコエビが激しく泳ぎ回って餌を探し、発見すると一粒ずつ抱え込んで食べる様子が観察できると思います。
冬場には夏場の半分程度与えるだけでよいです。

水換えは一年に一度程度で十分です。春の暖かくなる少し前に、底に溜まった有機物と水半分程度を換えましょう。あとは足し水のみでOKです。

<汽水性ヨコエビの飼育>




研究中




●ヨコエビ・フォトアルバム

 〇育中のヒメアナンデールヨコエビ
     (ヨコエビ水槽)


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